当診療所は開所(1993年12月)より29年目を迎えております。
また、私が前任 橋本医師より、2013年11月に継承してから、早7年が過ぎました。
「慢性疾患(生活習慣病)の適切な管理と、各種悪性疾患の早期発見を」
この当診療所の診療方針も継承して、今後もこの理念で診療に努め、
地域医療に貢献したいと思います。
2015 年中に亡くなられた方は130 万人。
死因の 第1位は悪性新生物で30%、 第2位は心疾患で15% 、
第3位は肺炎で約10%、 第4位は脳卒中で同じく約10%
以下、老衰で5%、不慮の事故、自殺、慢性腎不全、呼吸器疾患、肝疾患……と続きます。 一生涯で「がん」になる確率をご存知でしょうか。2011年のデータから、男性で62%、女性で46 %にも達すると報告されています。悪性新生物の上位を占めるのは、肺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、膵がんです。肺がんは喫煙による慢性炎症が強く関連します。また、私の専門の消化器関連で言えば、ピロリ菌による慢性胃炎から胃がん、慢性肝炎(多くはウイルス性)から肝がんと、その原因・道筋が明らかになってきています(大腸がん、膵がんはまだ未解明です)。禁煙も含め、慢性炎症を取り除くことが、がんの予防となり得ます。ここ数年、ピロリ菌や肝炎ウイルスの治療は大きく進歩し、治癒・制御が可能となってきました。今やがんの一部は、「早期発見」よりも「予防」が重要で、当院の得意とするところです。この予防法を押さえた上で、さらに、早期発見のために経過観察(=継続的な検査)が必要です。また、残念ながら癌が見つかった場合でも、現在は早期なら治癒が可能ですし、進行していても様々な治療法が存在しますので、適切な治療につなげていきます。
日々、外来をやっておりますと、皆さん「ぴんぴんコロリ」が良いとおっしゃいます。高齢化した日本では、脳卒中は死因の第4位に挙げられ、要介護になる原因の第1位とされる疾患です。死因の第2位の心疾患と合わせて、心・脳血管疾患と総称されます。原因は主に動脈硬化ですが、その進行には高血圧・脂質異常(特に LDLコレステロール=悪玉コレステロール)・糖尿病が関わります。まずはその拾い上げが大切です。そして、これら「慢性疾患(生活習慣病)の適切な管理」が必要となります。
がんの上位を占める疾患や、上記の慢性疾患は、ほぼ健診で拾い上げが出来ます。まずは、年1回の健診を受け、指摘があれば放置しないようにしましょう。
第3位の肺炎は高齢者、なかでも体力の低下した方に多い病気です。インフルエンザや肺炎球菌のワクチンがお勧めです。肺炎球菌ワクチンについては、2014年度より高齢者に助成制度ができましたので、是非活用しましょう。喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの、背景の病気のコントロールも大切です。